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青々とした山が霧にすっぽり隠れて、山の頭角しか見えない。太い木の枝に裸足でのぼり、どこまでも高くのぼれる少年はユンソルである。  彼はまだ5歳だったが、生まれつき運動神経が良く、狩猟に出かける父のあとをこっそりついていくのが日課であった。 木の上ならバレないと思っているが、父は分かりきっていた。 「ユンソル。降りてきなさい。」 背を向けたまま、父は呼んだ。 ユンソルは「え?」と驚きながら、葉と葉の隙間から見下ろしている。父は振り向いた。 「お前のやることなんて、お見通しなんだよ。 さあ、おいで。」 ユンソルは小さく笑い、素直に枝から足を下ろして降りてきた。 「お前は…俺の跡を毎日ついてくるんだな」 父に肩を撫でられながら、ユンソルは腕についた葉っぱを取り除いた。 「だって、カッコいいんだもん」 そうして小さな指で差したものは、父の肩に提げられたAK47である。
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