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翌朝。菫青が机に向かって課題をしていると、二日酔いの水晶が目覚めた。
「おはよう、水晶。気分はどうだ?」
唸るような声が、気分の優れないことを伝えていた。
「……俺、何かお前に言ったよな?」
「酒屋での話か?」
「違う、ここの階段で」
菫青は覚えていたが、記憶が曖昧かもしれない水晶に、どう言うべきか考えた。
「あー……確か、えっと……新しい大人とか」
「そうだ! 新しい大人って、思い付いたことベラベラ言ってたんだ!」
どうやら記憶が完全に戻った水晶は、頭を抱えてため息をついた。
「おい。俺の言ったことは全部忘れろ。馬鹿な酔っ払いの言うことなんて信用するな」
「僕は楽しかった。水晶は間違いなく頭がいい。僕じゃ考えつかないことを、あんなに淀み無く言えるなんて」
菫青はいつもと変わらず、柔らかく笑っている。
「もう俺は酒を飲まねえ」
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