「幸せ」の計り売り

4/13
前へ
/13ページ
次へ
「そこのお客さんは、お金持ちになるという幸せと引き換えに、彼女との思い出を代金として支払った。これから奴は金持ちになるわけだ」  なるほど、計り売りというだけあって、幸せの大きさによっては、かなりの思い出を求められるのか。 「あんたはどうする? どんな幸せでも売ってやるよ?」 「今回はお試しで。じゃあ、今日一日、心が平穏でいられるようにしてもらおうか」 「ふん、面白くない。それなら家族との夏休みの一日の思い出と引き換えだ」  どの一日か分からないが、安いものだ。 「それでいい。取り引き成立だ」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加