「幸せ」の計り売り

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 週末の朝、デジタル端末に一通の未読メールの通知が光り始めた。送り主の名前に記憶はない。ただ、怪しげな勧誘メールではなさそうだ。私は中身にザッと目を通す。 「最近、会ってくれないのはどういうわけ? 彼女を放っておいて仕事に熱中するなんて、どうかしてるわ。あなたとはこれでお別れ。さよなら」  このメールが正しければ、私には彼女がいたことになる。しかし、そんな記憶はまったくない。間違いメールに違いない。あとで電子メールセンターに文句を言ってやるか。
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