1. 運命の歯車はもう止められない

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 新学期に行われた身体測定の結果表は、イザベルのわずかな希望をも打ち砕いた。一ミリでもいいから伸びていてほしい、という淡い期待すら裏切る結果となってしまった。  完璧な令嬢として一目置かれているイザベルだが、容姿には欠点がある。母親譲りの若葉色の瞳はキリリとし、蜂蜜色のロングストレートは毛先だけゆるく巻かれ、華やかさが際立つ。  しかしながら、イザベルの身長は平均をかなり下回っていた。成長期を忘れたような幼い声も相まって、中等部でも初等部と間違われることもたびたびあった。  年下からは同学年と思われ、鬼ごっこと称して追いかけ回された過去もある。彼らは遊びのつもりだったようだが、何が楽しくて初等部の暇つぶしに付き合わなければならないのか。  結婚適齢期を迎えたはずなのに、子供のような外見と高い声に、実の両親から残念な目で見られることも少なくない。 「でも、これから成長する可能性もゼロではない……はず……」  学園の花壇の隅でひとり嘆いていたときに偶然聞こえた話だと、世の中には成長期が遅い人もいるらしい。 「そうよ。わたくしの成長期はまだ終わっていない……」
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