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夢のようなプロポーズから一夜が明けた。
とある小さな貸家の寝室のベッドの上でレイトは目を覚ました。
次の瞬間に目に入ったのは、小さな寝息を立てている婚約者の寝顔。
肩を露出したその姿は裸にも見えたが、目を凝らしてみるとピンクのキャミソールを身に着けている。
しかしレイトは動じる事なく小さな溜め息をついて囁く。
「イリア……」
その声に反応してイリアの瞼がうっすらと開かれる。
そして、すぐにレイトの顔に焦点を合わせると、目を吊り上げて強気に笑いかけた。
「おはよ、レイト」
「……なんで隣に寝てるの?」
「あら、婚約したんだから当然でしょ」
イリアは上半身を起こすと、レイトを見下すようにして薄笑いを浮かべる。小柄で童顔ながらも、そのスタイルの良さは薄手のキャミソールでは覆いきれない。
大胆な胸元を見せつけるようにしてイリアは寝起きのレイトに迫るが、すっかり目が覚めているレイトはテンションも冷めている。
「イリアのベッドは、ちゃんと隣にあるよね?」
「いいじゃない。アタシ、ダーリンと一緒に寝たい」
「ダメだよ。そういうのは結婚してからじゃないと」
「ハァ?」
イリアは思わずレイトの胸ぐらを掴んで引き寄せる。体を密着させて豊満な胸を押し付けるが、悪魔の彼は顔色ひとつ変えない。
「アンタ、フィアンセが隣で寝てるっていうのに、何の気も起こらないワケ!?」
「え? 何の気?」
「ハァ……もう、いいわ」
今度はイリアが溜め息をついて肩を落とした。
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