6.団体戦の感想まとめ

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・もし種目の特徴を漢字2文字で表すとしたら、フルーレが「優雅」、エペが「慎重」、で、サーブルは「勇敢」だな、ってのが女子サーブル団体戦を見て感じたことです。 フルーレとエペは剣を交えながら対戦相手と駆け引きするけど、サーブルは剣を交える前に駆け引きしている感じ。 お互い対戦相手がどんな攻撃をしてくるかを読んで、攻撃を繰り出す。読みが外れたら詰み。でも、サーブルは優先権を持たないと得点できない。だから、相手より攻撃態勢に入る勇気が必要だよなー、と。正直、はじめは、攻撃を終えたあとの選手たちが上げる、デシベル数限界突破な叫び声にびっくりしましたけどね😅 でも、サーブルのルーツはハンガリーの騎兵隊の剣技。馬に乗って会敵→一瞬で相手を突くor斬る→勝ちどきを上げる、って想像したら、このスピード感あふれる展開と迫力(叫び声こみで)こそが、サーブルならではの面白さだな、と思えたんです。 ・団体戦の試合を見ていて感じたのは、団体戦での強さは、個人戦とは違うんだなってこと。日本みたいに、個の力を結集し、うまく掛け合わせる強さもあれば、絶対エースを軸に試合展開を作る強さもある。 明らかに後者のパターンだったのが、女子サーブル団体戦の決勝。最終第9ピリオド、韓国に3点ビハインドで、ウクライナは、個人戦銅メダリスト、アンカーのオリガ・ハルラン選手にバトンを託します。今大会初の金メダルを、ウクライナにもたらしたい。ハルラン選手は、そんな強い意志を感じさせるプレーで、次々得点を重ね、45対42の逆転勝利、歓喜の金メダルを獲得したのです。 ・今大会の団体戦、日本チームはすべての種目でリザーブの選手が出場し、全員大活躍でしたが、特に印象に残ったのは、やはり男子フルーレ団体戦の永野雄大選手。 選手交代のカードをどこで切るんだろう?と思っていたら、決勝の最重要ポイントである第8ピリオドで、イタリア、日本双方のベンチが動きます。 全日本チャンピオンにもなった実力者なのに、イタリアのフォコーニ選手と比べると、なんだか頼りなさそうな(→失礼)雰囲気の永野選手。 ですが、オリンピック最初で最後の出番に、相手に1本も取らせず5点連取の大仕事を成し遂げ、一躍ヒーローに!少年マンガばりの活躍を見せたのに、「とにかく思いきっていくしかない!って無我夢中で、気がついたら終わってた」と飾らないコメントしていたのも、好感が持てました。男子フルーレチームの愛されキャラは永野選手で決まり! ・歴史あるグラン・パレに作られたフェンシング会場。今大会はとにかく演出が素敵!特に、3位決定戦、決勝で、大扉が開き、選手たちが階段を下りて入場してくるところは、否が応でもワクワク感をかきたてられる! それに、さすがフェンシング発祥国。観客の皆さん目がこえていらっしゃる。 フランス国歌を歌って自国の選手たちを応援するのも、自国の選手の得点に歓声を上げるのも、高揚感があって私は好き。 審判の声が聞こえないと困る場面ではきちんと静かになり、試合が終われば勝者にも敗者にも惜しみない拍手を送ってくれる。観客の皆さんが作ってくれた素晴らしい雰囲気の中での試合は、とても見ごたえがありました。
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