私の歌声をもう一度、 あなたに届けたい。

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『完成したの?』 「うん!」  スマートフォンの画面に浮かぶ言葉を見て、雄大は満足げに頷いた。 「前に姉ちゃんが歌った音源を聴きながら、頑張って編集したんだ。まだまだ機械音って感じだけど、姉ちゃんの癖を再現する努力はしてみた」  じゃあ、このしゃくりは私の真似ってこと?  ……ちょっと多すぎないかな。私、こんなにしゃくりが多いんだ。  マサに聴かせたら怒られそう。マサは私に注意するとき、ふざけて頭をコツンって小突くんだ。  ……ふふっ。  息を漏らして笑うと、雄大は少し不安そうに頭を傾けた。  私は、思わずスマートフォンの録音音声を再生していた。 〈ありがとう〉  久しぶりに聞いた声は、やっぱり馴染む深くて好きな響きだった。  抱きつこうとすると、「うわっ病人が何やってんだよ。うざい!」と叫ばれた。失礼な。 『でもまだまだですな。今の技術はすごいもん。もっと本当の私みたいに編集できるはずよ、マサならね。会いに行かなくちゃ』 「はいはい」  ポチポチと文字を入力したスマートフォンを差し出すと、雄大は嬉しそうに笑った。
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