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「貴方とおんなじ能力を持っている人を探そう!」
もう本当に彼女はネットショップ以上の楽天家で、こんなことで踊っている。
呆れながらも「あんまり期待しないで待っておくよ」と素っ気無い返事で流す。しかし「わたいの連絡網を甘くみんなよー」って彼女はもうスマホに向かっていた。
「簡単には見つからないのはわかってるから」
暫くの期間が過ぎて夏も過ぎようとしていた頃に彼女からまたこの話題を振られたので答えた。正直言うと見付かる筈なんて無いと思っていたから。
しかし彼女は鼻息も荒く「私を褒め称えなさい!」と自信在りそうな返事をしているので、まさかと思って驚いていた。
「見つかったよ。しかも男の子で、年齢まで一緒。これはもう運命だね!」
なんと余計な付属事項までついている。こうなると彼女の言う通り運命と言うものを信じたくもなるのだが、怖い部分もある。
「本当に私みたいに人の色が見える人がいるの?」
怖いとはその辺も含んでいる。嘘をついて近付いてくるだけの人間だっているだろう。見世物とすれば稼げそう。
「それが信じられないだろうけど、本当らしいんだ。いやー、流石のわたくしでも、こんな調査は骨が折れて、全く知らない知人のそのまた知人まで調べつくしたわ」
余程の苦労があったのだろう。楽天家の彼女がそういうのだから。でも、彼女はそのくらいでへこたれない。
「ということで、今度デートを組んでおいたから」
バッチリその辺は万端整えているらしい。こうなると私が「えー!」っとどれだけ反論しようが応えない。そんな人だからと思うしかない。
「会うくらいなら構わないけど、おかしい人だったら逃げるよ」
観念した私はその人と会うことだけは了承した。その時の言葉に彼女は「安心して、ボディーガードとして私の旦那も連れてくから」なんてグッドサインをしている。
それはもう楽しそうなことで、私のことなのに、友人の為にという思いにもなってもう文句は言わないつもりだった。
「んじゃあ。今度の花火大会にね。ゆかた必須だから」
別れ際に言われた言葉につい苦言として「マジで?」と返してしまう。
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