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1、幼馴染婚することになりました
「申し訳ございません、お父様。もう一度おっしゃって頂けないでしょうか」
夕食後、お父様から呼ばれ、私はお父様のお部屋へと参りました。けれど、椅子に座ったお父様がおっしゃられた内容に耳を疑ってしまいました。いえ、信じたくなかったのです。
「魔界を統べるシタン家から、我がマルダンヌ家の娘に婚姻こんいんのお申し出があったんだよ」
困ったような顔をしたお父様の眉は、いつもよりもさらに下がって見えました。
周りくどい言い方をなさりましたが、マルダンヌ家の娘は私だけです。そして、シタン家の方で面識があるのは、あのお方しかいません。
「第六魔王子殿下が直々にユシェルを望まれたそうだ」
ああ、やはり。なんとなく想像がついてはいました。ですが、お相手を伺った瞬間に私はクラリとして、倒れそうになりました。
「ラオニール、さま、が、私を……?」
「突然で驚いただろう。私もそうだよ」
お父様は、私を気遣うようにおっしゃいます。さらに、こう付け足されました。
「ユシェルも、ラオニール殿下も、今年で十八歳。ちょうど良い年頃だよね」
お父様は、私が結婚自体に驚いていると勘違いしていらっしゃるみたいです。
「幼馴染のラオニール殿下なら気の置けない仲だろうし、良かったんじゃないかな」
今すぐ首を横に振って、「ちっともよくありません」と叫びたい気持ちになりました。
だって、ラオはーーいえ、ラオニール殿下はとってもこわい方なのです。
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