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6、ずっと愛してくださっていたのですね
お部屋を出た私は広間に戻り、ラオニール様を探しました。ですが、どこにもお姿が見当たりません。
あちこち足を巡らせ、ようやくラオニール様のお姿を見つけたのは、広間からは少し離れたところにあるバルコニーでした。ラオニール様はお一人で、静かに星空を見上げていらっしゃいます。
「ユシェル」
私にお気づきになられたラオニール様は、私の名前を呼ばれました。
「先ほどは申し訳ございませんでした」
私は殿下との距離を少し詰め、頭を下げます。
「もう大丈夫なのか」
「はい。ご心配おかけいたしました」
そこで会話が途切れてしまいました。
私は一生懸命言葉を探しましたが、会話の糸口が何も思いつきません。私の様子を気にされてはいたものの、殿下もお言葉をくださることはありませんでした。
広間からは、楽しそうな笑い声が聞こえてきます。
余計に私たちの静寂さが際立ち、焦りを感じました。
「あのっ」
「ユシェル」
長い長い沈黙の後。ようやく会話を始めようとした矢先、タイミングが被ってしまいました。
「殿下からお先にどうぞ」
「いや、大したことじゃないから良い」
お互いに譲り合う形になってしまいました。少し戸惑いましたが、私は勇気を出して、切り出します。
「単刀直入に申し上げますが、どうして私に結婚を申し込んでくださったのですか?」
ラオニール様は一瞬だけ面食らったような顔をして、こうおっしゃりました。
「愛しているからに決まってる」
いつものように怖いお顔ですが、翼はせわしなくファサファサと動いていました。『魔王族の方たちの翼は、大切な方の前でしか動かない』――エマの話を聞いた後だと、彼の翼がとても愛しく思えてきます。
怖いお顔の印象が強くてこれまで気がつけていませんでしたが、ラオニール様はいつもこうして私へのお気持ちを示してくださっていたのですね。
「私、嫌われていると思っていました」
「ずっと好きだった」
翼をますます激しく動かされ、ついにお顔まで赤くされながらも、ラオニール様はしっかりと答えてくださいました。
どうしましょう。ラオニール様の緊張が伝わってきて、私もすごくドキドキしてしまいます。
私はドレスの裾をぎゅっと握り、うつむきます。
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