7.生まれ変わり

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7.生まれ変わり

 最初の私の生まれ変わりは、藩道場の門前で行き倒れた夫婦の忘れ形見で真矢という男でした。  物心がつくと、前世の記憶が戻りました。そして、道場の一人娘があなたの生まれ変わりであることにも気づきました。  しかし残念なことに、あなたには前世の記憶がないようでした。  あなたとの縁談は断りました。だって私はあなたの命を守るために生まれ変わった、ただの猫なのですから。  あなたは文吾と幸せになるのが一番と、心から願っていました。  ところが憎き妖魔はその文吾に取りつき、あなたを殺めようとしたのです。私は文吾を倒すしかありませんでした。  次に生まれ変わったのは、異国の密林の小さな村でした。今度は女に生まれました。  物心がつく頃には前世、前前世の記憶が戻り、戸惑いました。  言葉も風習もまったく異なる異教の地です。前の記憶があるだけに順応するのが大変でした。  おそらくそこは、あの異教の神の国だったのではないでしょうか。それなら悪戯(いたずら)にも程があります。  しかも、あなたの姿が見えません。あなたを助けるにも、あなたがどこにいるのかわからないのです。  やがて虎狩りに現れたあなたを見かけ、若き国王こそあなたであることに気づきました。  私は村の若者に混ざり、弓の練習に励みました。  その国の剣は前世で使っていたものとは形が違っていましたが、弓なら前世で学んでいたものとあまり違わず、すぐに上達しました。  そして次の虎狩りの日、弓矢で虎を仕留め、あなたの目に留まるようにしたのです。  後宮であなたの寵愛を受けることは、猫の分際で恐れ多くもありましたが、あなたの傍らであなたを守るために仕方ありませんでした。  あなたに抱かれてその肌の匂いを嗅ぐと、雪の中あなたの胸元に入っていた頃の懐かしい記憶が蘇りました。  また、女としてあなたに愛される喜びも感じていました。  しかし、しばらくしてあなたの異母弟に妖魔が取りつき、後宮を襲います。  私は王宮の術師に呪術をかけてもらっていた日本刀を使い、前世で鍛えた剣術で妖魔を退治しました。  私も深手を負い死にましたが、私の二度目の使命も無事果たせました。
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