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ある夜、天蓋付きのベッドで国王とマヤが睦言を交わしていると、突然、国王の異母弟が後宮を襲った。
「我こそが、この国の正当な後継者である。兄王を倒して、我が王位を継ぐものとする」
異母弟は何かに取りつかれたように言い放ち、軍勢を引き連れて後宮を取り囲み火を放った。
「兄王を討った者には、褒美を与える。〇△◆#×□●▼◇▲!」
軍勢は火が上がる後宮の奥へと進んでいった。
突然の来襲、火が燃え広がり、国王の家臣たちはパニックに陥って守りにつく者はわずかだった。
すると、マヤはベッドの下からあの剣を取り出し、鞘から抜いて構えた。
その構えは、この国のものとは明らかに違っていた。
「国王を裏から外へお連れせよ」
マヤは張りのある声で護衛に告げると、襲ってくる軍勢に立ち向かった。
その剣捌きはこの国の者とは違い、また女のものとは思えない見事なものだったという。
炎で天井や柱が焼かれ火の粉が散る中、家臣はマヤのもとに戻ろうとする国王を無理やり後宮の外に連れ出した。
そのあと、後宮でどのような戦いがあったのか、知る者はいなかった。
焼け跡からは、異母弟やその軍勢も含めて多くの亡骸が見つかったが、いずれも黒焦げで誰のものか見分けがつかなかった。
国王は酷く悲しんで必死でマヤの姿を探させたが、その亡骸がどれなのかもわからなかったという。
その後も、静かな虎の治世は長く続いたという。
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