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4.こけし
私はこけし。
自分では動けないから、今は床の間から見守るしかできない。
目の前の子供用布団で昼寝をしている静也が生まれたときに、彼の父方の祖母が静也の誕生時の身長で作らせたこけし。それが私。
だから、私の身長は四十七センチ。こけしにしては結構大きな方だし、かなり重い。
こけしは『子消し』と書き、昔、貧しい村で口減らしした子の魂を慰霊するために作られたという都市伝説があるらしい。
最後の姿をこけしにするとは、あの異教の神も酔狂が過ぎる。
私には最後の使命がある。それを成し遂げるために生まれてきた。
しかし、こけしでは自分で身体を動かすことができない。
どうしたらいいのだ?
時が来るまでに、なんとか少しでも身体を動かせるようにしておきたい。
ああ、だがこけしとは、つくづく厄介なものに生まれてしまった……。
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