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さんざなぶりものにされ、痣だらけでうずくまるチュチュを放って、「時間の無駄だったな!」と、討伐パーティーらが罵倒をしつつ去って行く。
痛みに動くこともできないまま、やがて日が落ちていく中──
「なんだ、まだとどまっていたのか?」
耳馴染みのある声がして、チュチュは視線をさまよわせた。
すると、アッシュがこちらに歩いて来る姿が見えて、
「わぁーん……」
チュチュは泣きながら、その大きな体に飛びついた。
「なんだなんだ、どうしたんだよ? まさかもういねぇだろうなと思って、見回りに来たら……おまえ……」
そこまで話して、チュチュが傷だらけなことに、アッシュが気づく。
「どうした? また魔物が出たのか?」
無言でふるふるとチュチュが首を振る。
「だったら一体……って、これは……」
彼女の服に人の靴跡があるのを見つけ、アッシュが言葉を失う。
「人間のし技か、ひでぇことしやがる……」
よっぽど怖かったのか震えが止まらないチュチュの頭を、アッシュが大きな手で撫でてやると、涙のいっぱい溜まったつぶらな瞳が、つと上げられた。
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