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「寝ていいぞ。火の番は俺がしているから」
剣を傍らに置き木の幹にもたれたアッシュが、穏やかに声をかける。
「ううん、チュチュもいっしょに起きてる」
言ったそばから、うとうととする彼女に、アッシュがクスリと笑う。
「ね、眠くなんてないもん! そうだ、寝ちゃわないよう、話していてもいい?」
「ああ、いいぞ。好きにするといい」
心良い返事に、何か話題をと探していた彼女が、あっ……と思い出したように口を開いた。
「その右腕って、どうしたの?」
あまりにストレートな問いかけに、アッシュが一瞬顔をしかめて、
「わ、ごめんなさい!」
怒られるかもと、チュチュが両手で頭を抱える。
「何も怒ってなどいない。聞きたければ、話してやるから」
アッシュはそう語りかけ、右腕を失ったわけを話し始めた。
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