後編

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そのままチュチュは、すぅーすぅーと寝入ってしまい、アッシュはもう一度その頭を優しげに撫でると、自分は火の番をするため、彼女を起こさないようそっと居住まいを正した。 時たまアッシュがうとうととしつつ、やがて夜が明けてくる。 日差しが雲間から薄っすらと射し込むと、チュチュがふわぁーとあくびをして、目を覚ました。 「あっ、いつの間に寝てて……私。ごめんなさいっ。ちっとも火の番もしないで!」 起き上がりざまに頭を下げるチュチュに、アッシュが、「いいから、謝るな」と、なだめる。 「火は俺が見ているからと、そう言ったんだ。だから、構わない」 「でも……」と、口ごもるチュチュに、 「気にするな」と、アッシュは声をかけると、「じゃあ、そろそろ行くか?」と、休んでいた木の根元を立ち上がろうとした。
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