後編

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──と、その瞬間 ガサガサと葉っぱを揺らす音が響き、何か現れたのかと、アッシュが咄嗟に剣を構えた。 だが上から落ちて来たのは、予想だにしない物だった。 「……これ、卵?」 落下物を両手で受けたチュチュが、口を開く。 「そう、みたいだな。見たところ、翼竜の卵のようだが、どうする? 食うか?」 アッシュの言ったことに、「食うなんて!!」と、チュチュが猛反発をする。 「ハッ、いきなり食うもないか」 頭を掻いたアッシュだったが、 「けどこのままにしておいても、他の魔物に食われるだけだろう。まして巣に返してやっても、一度人間が手にしたもんは、もう野生の親は育てない」 そう正論を話して聞かせた。 「……育ててもらえないの? もう……」 チュチュが悲しげに声を落とす。 「ああ、(こく)だが、人間臭いもんは、親の竜とて見捨てるからな」 「そう……なんだ」 さらに悲しそうに落ち込むチュチュの手の中で、 不意に、卵の殻にピシッと割れ目が入った。
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