後編

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──そうして雰囲気が落ち着きかけた、その矢先、またしても魔物の()(たけ)びが空気をつんざいて響き渡り、アッシュが大剣をスラリと鞘から抜いた。 目の前に立ちはだかる巨体の竜が、大きな口を開け鋭い牙を剥き出しにしたかと思うと、炎をゴーッと吐き出した。 「ヤバい! こいつは()(えん)竜だ! 下がってろ、チュチュ! 危険だッ!」 アッシュに背後へ押しやられ、チュチュが咄嗟に近くの木の陰へ身を潜めた。 火焔竜は、灼熱の火を吹く魔物で、竜の中でも最も凶暴と恐れられていた。
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