後編

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アッシュは片腕で振りかざした剣で、必死に応戦をするも、皮膚を切り裂く(かぎ)(づめ)と、間断(かんだん)なく吐き出される炎に、明らかに劣勢になっていた。 そうして、彼の一本しかない腕を狙い、ギラつく(そう)()が襲いかかった刹那、 見ていることが耐えられなくなったチュチュが、物陰から走り出た。 「アーッシュ!」 声を張り上げて叫び、血まみれの彼の腕に縋りつくと、 「……治してあげる。今治してあげるから……!」 大きく切り裂かれた(あと)へ、手をかざした。 「ありがとうな……だが、下がっていろ。危ないから」 パーッと光がアッシュの腕を包み、傷が癒えていく。 その閃光(せんこう)に、ドラゴンが目を(くら)ませた隙をついて、アッシュは火吹きの器官がある喉元を切っ先で貫いた。 ウゴォー……と、苦しげな声を上げ、竜が倒れ()す。 同時に、永続的ではないチュチュの魔法は解け、アッシュの開いた傷口からは、再び血が噴き出した。
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