5 祖父との再会

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「どれ、まずは孫娘との再会の喜び、しっかりと味わせてくれ」  そんなことを言いながら、ジェドは両手を拡げてリーシャを抱き寄せた。  昔から彼が好んでしていた家族間の挨拶だ。  記憶よりも随分と近い位置に祖父の頭があることに驚きながらも、リーシャは懐かしい感触にゆっくりと目を閉じる。  包み込む温かな体温に、思わず涙が出そうになった。  ――自分が受け入れられているという安心感。  こんな気持ちになったのは、一体いつ以来だっただろう。  凝り固まった心が解けていくようだ。心が欲していた、家族の温もり。  子供の頃に戻ったような心地で、リーシャは祖父の抱擁を受け止める。  その身体が離れる頃には、リーシャは今までにないほどのゆったりした心持ちになっていた。まるでジェドの魔法に掛かったような心地。 「さぁ、次はツルギ、お前さんだ」  リーシャから離れると、そう言ってジェドはツルギに向かってお茶目な笑みを浮かべる。 「いえ、オレは……」  慌てて身を引こうとするツルギを逃すものかと、ジェドはがっしりとその肩を捉えた。 「お前さんはいつも、ひとりで頑張りすぎる。リーシャのために尽力してくれるのはありがたいが、あまり抱え込みすぎるでない」  そう言いながら、ジェドはやさしくその背を包んでいく。  しばらく硬直していたツルギは、やがて諦めたようにゆったりと目を閉じた。  彼の表情から少しずつ険しさが薄れていく。  彼もまた、リーシャと同じようにジェドの魔法に掛けられたのだろう。 「……過分なお言葉、痛み入ります」  そう返す彼の声は少し掠れていて、そして何かに耐えるように語尾が震えていた。
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