5 祖父との再会

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「お祖父様は、ツルギと親しいの?」  一介の使用人を相手にしているとは思えないそんな距離の近さに、リーシャはつい口を挟んだ。 「そりゃまぁ、子供の頃のコイツを引き受けることを決めたのは、儂じゃからの。小さい頃から目を掛けたきたんじゃ、もう孫のようなものよ」 「……そうだったの」  思いがけないところで、ツルギの情報が手に入った。  ――ということは、少なくとも巻き戻った「今」の状態では、彼が居ることは至極当然のことなのだろう。  そんなことを思ってひとりで頷いていると、ジェドは不思議そうに口を開く。 「覚えておらんのかね? そもそも行き倒れていた彼をどうしても助けたい、自分の使用人にするからと頼み込んだのはリーシャだったろうに」 「…………」  思いがけない過去を告げられるが、まるで他人の思い出話のようにしかリーシャには感じられない。 「その後あの馬鹿息子がハロルドとの婚約を勝手に決めてきて、もう付き合ってられんと儂は家を出たのじゃが……ずっとリーシャのことを心配しておったよ。だから、こうして相談に来てくれたことが本当に嬉しいとも」 「お祖父様……」  彼の瞳に宿る真摯な気遣いの色を見て、リーシャの胸は潰れそうになる。 「近頃ハロルド王子は、リーシャを(ないがし)ろにしてどこぞの貴族の娘にうつつを抜かしている……そんな話は聞いていたが、今日の相談はその話かな」 「えぇ。でもまずお聞きしたいのは……」  ごくりと唾を飲んでから、リーシャは意を決して声を出す。 「悪魔召喚についてなんです」
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