5 祖父との再会

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「悪魔召喚、か……」  突然告げられた言葉に少しだけ驚きを目に表しながらも、ジェドは落ち着いた声で呟いた。 「異界より悪魔を呼び寄せ、対価と引き換えに望みを叶えるための手段――悪魔召喚。その効果は絶大で、本来であれば叶うはずのない望みすら現実のものとできると言われている。……とまぁ、そんなお伽話の話だ」  しかし、と彼は鋭い眼光で虚空を睨む。 「そんなお伽話に対して、今もなお法律が機能しているというのは不思議な話ではある。我が国において悪魔召喚を執り行なった者は、それを試みた段階で問答無用の死罪――馬鹿らしい内容だが、かつては王家に逆らう者を処刑するための大義名分として持ち出されていた法律であろう。といっても儂の知る限りで近年、その沙汰が実際に下されたことはないがね」 「問答無用の、死罪……」  かつての自分が辿った道を思い出して、リーシャはギュッと右手を握り締める。 「そんな法律が作られたということは、かつて悪魔召喚という呪術は実際に存在したのかもしれぬ。……それがどこまで効果があるのかは置いといて、の」  ふぅ、とジェドは大きなため息を吐き出す。
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