6 忘れたくない存在

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 死に戻ってからの僅かな時間であっても、ツルギの存在はリーシャにとって非常に大きなものとなっていた。  常に彼女の傍に控え、彼女の感情に寄り添い、そして的確な助言を口にしてくれるツルギ。  彼がリーシャの人生から消えてしまったら、リーシャは間違いなくひとりぼっちになってしまう。  欠けた半身の正体を知らぬまま、それでも虚しさだけを抱えて生きていく――そんなの想像するだけで身震いがする。 「報告ありがとう、ツルギ」  今日もまた彼と言葉を交わしながら、リーシャはツルギのパーツひとつひとつを丁寧に視線でなぞる。  それでも、その全体を形作る彼の顔は相変わらず掴めないけれど。 「ツルギ、何度でも貴方の名前を教えてね」  ――そうやって名前を呼び続けることだけが、彼女にとって唯一彼を忘れないためにできる対抗策だから。  顔がなくても、名前を忘れても、彼は私の大切な執事だ。  向かい合う灰緑のゆらめく瞳がまっすぐにリーシャを映し出した。じっと視線をそらさず、ツルギは真摯に答える。 「もちろんです、お嬢様」
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