7 再びの断罪劇

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「貴様は我が真実の愛の相手、ティアラに嫉妬し、彼女を排するために禁忌に手を出した。既に証拠は上がっている。悪魔召喚に手を出し、ティアラを呪殺しようとした魔女め! 報いを受けるが良い!」  ハロルドが手を挙げれば、手際が良すぎる程に素早く衛兵がリーシャを取り囲んだ。  当時はその怒涛の展開に、唖然として何もできなかったものだ。  しかし、今回のリーシャは怯むことなくその場でじっと頭を下げたまま、落ち着いて口を開く。 「どうして私が、ティアラ様を害そうなどと?」 「っ、あくまでトボけるつもりか! お前は婚約者でありながらあまりにも至らなかったために、俺の愛を受けることができなかった。そしてその事実を認めることができず、俺の真実の愛の相手であるティアラに嫉妬したのだろう!」  あまりにも一方的な言い分。  しかし、彼の暴走を諌める者は誰も居ない。そんな敵ばかりの空間の中で、リーシャは気丈に顔を上げる。 「私がティアラ様に嫉妬するわけがありません」  キッパリとした断言。  凛とした声が、息を呑む静寂の中で会場の空気を震わせる。 「――だって私たちの婚約は、()()()()()()()()()のですから」
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