7 再びの断罪劇

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「わかりませんか」  ピシャリと冷たく、リロイはハロルドの恫喝を跳ね除ける。 「兄上の策謀は、既に露呈しているということですよ。国家擾乱(じょうらん)を企んだ、貴方の罪は」 「は……?」 「城下町の青い屋根のタウンハウス」  端的にリロイがそう告げると、ぽかんとしていたハロルドの顔は見る見るうちに青褪めていく。 「書斎の本棚裏の隠し部屋。貴方が設置した()()()悪魔召喚の陣は、既に衛兵たちが抑えています。婚約者に罪をなすりつけるくらいだから、兄上もよくご存知でしょう。悪魔召喚の試みは、死罪に当たると」 「そ、それは……」  苦しそうに何とか言い訳を探そうとするハロルドを前に、リロイは容赦なく言葉を続ける。 「貴方がその浮気相手に唆されて、王太子の座に就こうと画策していることは既に露見しています。悪魔と契約して、一体何をしようとしていたのか……これからゆっくり聞かせてもらいましょうか」  連れて行け、とひと言リロイが命じれば二人はあっという間に捕縛されてしまう。 「離せ、俺を誰だと思っている……! お前ら後で、覚えていろよ……!」 「いやっ、放して……! ハロルド様、助けて……!」  最後まで自分たちの罪を認めぬまま、二人は衛兵に無理矢理連行されていく。  しばらく抵抗する声は聞こえたものの、やがて物音は遠ざかり、そして静寂へと飲み込まれていった。
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