7 再びの断罪劇

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「リーシャ嬢、今回の件、情報の提供に感謝する」  彼らが完全に排除されたのを確認してから、リロイはリーシャへと向き直った。 「臣下として、当然のことをしたまでですわ」  涼しい顔で答えながらも、リーシャは内心で安堵の息をつく。  祖父にお願いして、繋いでもらったリロイとの縁。  それを駆使しても、ハロルドの企みを暴くにはあまりにも時間が足りなかった。  なんとかこうして破滅の未来を回避できたことは、もはや奇跡にも近い。  自分ひとりの力では、到底成し遂げられなかったであろう。  ――そう。()が居てくれなければ。 「今回のこの件は、リーシャ嬢が勇気を出して告発してくれたことで明るみに出た。誉れ高き彼女の英断に、拍手を!」  会場中に響き渡るリロイの言葉に、参加者たちは一斉に手を鳴らしはじめた。  それはやがて嵐のような拍手となって、リーシャに降り注ぐ。  ――()()()()()()、とリーシャはその拍手にカーテシーで応えながら呆然と胸の裡で呟いた。  破滅の運命(さだめ)から逃れることができた、私の願いは達成された――遅れてやってきた実感がじわじわと身体に染み渡っていく。  こみあげる達成感に唇を綻ばせて、カーテシーを終えたリーシャはその喜びを伝えようと反射的に右後ろを振り向いた。  ――()()()()()。  その視線の先に広がる虚空を目の当たりにして、彼女の笑みは凍りつく。  ……私は一体、誰に笑いかけようとしていた?
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