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そして同時にそれが苦しさを伴うものであることに気がついた時、ツルギは雷に打たれたような衝撃を受けたのであった。
――彼女が幸せになれば、それで良いと思っていた。そのはずだったのに。
自分を信頼して見せてくれる彼女の心からの笑みを、そして他の誰にも見せたことのない彼女の悲しみの涙を。
いつまでも自分のものにしたいと……いつしかそんなことを願ってしまっていた。
それが危険な願望だということに、ツルギはすぐに気がついた。
この気持ちが膨らんでしまったら、きっと自分はリーシャのそばを片時も離れられなくなってしまう。
彼女が自由に羽ばたくことを恐れて、リーシャを鳥籠に閉じ込めてしまいたくなる。
彼女を自分だけのモノにしたいという醜い欲望がじわじわと心を侵しつつあることに、ツルギはしっかりと自覚していた。
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