424人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
彰浩は光屋の手を離し、今度は下半身へと手を伸ばした。股間に触れると、既に少し大きくなっている中心が感じられる。自分とのキスでこうなったと思うとやっぱり嬉しい。
「き、北さん、そこ……」
「『北さん』じゃなくて、好みの女想像してな」
彰浩が言いながら光屋のパンツを寛げ、下着の中に手を入れる。直接中心を手で扱くと、光屋の体がびくりと震えた。乾いていた中心が次第に濡れ、水音を立てる。その頃には最初よりも光屋の中心は硬く育ち、それを見ているだけで彰浩もドキドキとしてしまう。当然、体だって昂っている。
彰浩は光屋の上から降りて、自身のパンツを寛げた。下着の中に手を入れ、後孔に指を当てる。自分で後ろを解しながら、彰浩は再び光屋の中心に触れた。
「んっ……も、やめ……」
硬くなった中心が少し震えている。そろそろ絶頂が近いのだろう。だったら止めるつもりなど彰浩にはない。彰浩は光屋の足元に座り込み、その中心を口の中へと迎え入れた。
「あ、だめ、北さん、口、離してくださっ……んっ!」
両手で彰浩の頭を押して離そうとしていた光屋だったが、その前に彰浩の口の中に白を吐き出した。彰浩が中心から口を離すと、光屋はネクタイを放り投げ、体を起こしてこちらを眇めた目で見つめていた。
「何? 気持ちよくなかった?」
男の口じゃダメだった? と彰浩が微笑む。本当はこれで最後だし、このまま食ってしまおうと後ろの準備もしていたが、これは無理そうだ。彰浩は諦めて自身の尻から指を抜く。
「お礼にはならなかったみたいだから、帰ろうか」
彰浩が笑いながら光屋の傍を離れる。けれど、すぐに腕を引かれ、ベッドを降りることは叶わず、今度は仰向けに転がされた。さっきとは逆に光屋に押し倒される形になり、彰浩が驚いて光屋を見上げる。
「光屋くん……?」
「煽ったのは北さんです。全部、北さんのせいです」
光屋がこちらをまっすぐに見つめる。その双眸は獣のオスを想像させるほど、ぎらついていて、彰浩の背中がぞくぞくとわなないた。
さっきまでとは違う、男の顔をした光屋が少し強引に彰浩のパンツを下着ごと下ろす。完全に脚から抜けきっていないまま、両の腿を抱え上げられ、彰浩は光屋に意図せず秘所を晒した。
「……濡れてる……どうしてこんなふうに誘うんですか」
光屋はそう言い終わるか否かの内に、自身の中心を彰浩の中へと押し込んだ。その衝撃が強くて、彰浩は呼吸を止め、ぎゅっと目を閉じた。
成り行きでも事故でも、光屋が自分に対して興奮してくれたことが嬉しいと思い、彰浩が目を開くと、その頬にぽたり、と雫が落ちた。光屋の瞳から零れているのを見て、彰浩は眉を下げた。
「ごめんな……全部俺のせいでいいから、そんな顔しないで、最後まで俺を抱いてよ」
誰の代わりでも練習台でもいいから、と光屋の頭を抱き寄せる。
「北さん……おれ……」
「まだ萎えてないだろ? 頼むから、今は止めないでくれ」
ただ最後まで抱いてほしい。
その気持ちが伝わったのか、光屋はやがてゆるゆると腰を動かし始めた。
けれど結局その後はひとつも会話をしないまま、果てたと同時にベッドを降りた光屋は、彰浩を見ることもなく部屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!