さいたま新都心

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さて、私が属する悪厄についての話になるが、ひと昔前は死神と呼ばれ、多くの人間たちに忌み嫌われ、蔑まれ、虐げられてきた。 中には、私たちを崇拝する者もいるが、それはひと握りで、象徴として描かれる悪厄の姿は、実状とはかけ離れたー髑髏だったり、黒装束を纏った女性だったりーと、偶像の類で、私を見て貰えば一目瞭然、ショートボブで背の低い、何処にでもいる女、もしくは男の姿をしているのだ。 死期の近い人間を、快く承諾させて冥界へと誘うのが私たちの仕事だから、髑髏や大鎌などは論外で、そんな姿で現れたなら、人間は予定より早く、心臓発作で冥界へと旅立つだろう。 悪厄の世界にも決まりごとはあって、派閥ごとにコンプライアンスも存在する。 秩序は保たなくてはならない。 人間界と同じだ… 違反すれば、悪魔へと称号は格下げされるのだから、たまったもんじゃない。 だから私たちは、人間と同じ身なりをして、昔から社会に溶け込んみ、高く売れそうな高貴な魂があれば、1972時世界外の冥界へと出荷するのである。
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