さいたま新都心

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1972時世界とは、文字通り1972番目に誕生した世界で、0から始まり108億まで存在する。 どの世界でも、この世界は汚れすぎているから…と、私たち悪厄は嘆くふりをする。 そう繕うのが、キャリアを積む上では欠かせないパフォーマンスであり、内心は高価な魂の宝庫だからウキウキなのだが、いつの世のも、見てくれを気にかけるのは変わらない。 しかし、冥界へと旅立つ前の儀式、走馬灯時空旅行の空間ではそうはいかないし、そうならないように出来ている。 人間はともかくとして、私の意識は解放されてしまうのだ。 だから性格が豹変し、本音でしか対峙できなくなる。 私は覚醒と呼んでいるが、悪厄仲間は鼻で笑う。 「随分とストレスが溜まってるのね」 そう言われると、 「いやいや、人間じゃないから!」 と、私は苦笑いするだけで、弁解などはしなかった。
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