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このチームには他にも悪厄はいるのだが、走馬灯世界を爆走するキハ58を、安全に運行させる為に必要なのが、前述のとおり司令官である。
その任務にあたるのが、肉だけを貪り食っている若者ーといっても、私たち悪厄は歳を取らないし、好きな容姿のまま活動できる訳だから、若者に見えても150歳だったりするー小柄で色白の彼は、人間界では発明家である。
コードネームはしめじだ。
バディとなる運行管制官はというと、先程から屋内と庭を行ったり来たりしながら、缶ビールをグビグビと飲んでいて、既に顔は赤く、
「おいおい、なんで歳上の俺が、お前のために肉を運ばなくちゃならねえんだよ、ちっとは残しとけって、それとも何か?ゼット世代からしたら、やってもらって当たり前田のクラッカーか?」
等と、悪態をつきながらも楽しげだ。
しめじは、
「なんですか、あたり前田の…?」
「クラッカーだよ!」
「前田さんのですか?」
「は?」
「てか、前田さんって?」
「いいんだよ、そんなに食いつかなくても!適当に聞いてりゃいいんだよ!ねえ、お嬢さん!」
急に話題を振られた私は、とびきりの笑顔を浮かべて、失礼ないように軽く遇らって見せた。
ただの酒好きの陽気なオジサン、自己紹介で彼は言っていたが、人間界では葬儀会社を営む実業家だ。
棺桶屋と呼ばれてはいるが、コードネームはエリンギである。
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