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「薬草部の友達も言ってたよ。『眠り姫の毒』とされるサンプルは手に入ったけど、流通しているすべてが同じ流しの魔術師が売ったものとは限らないし、仮にそうだったとしても、すべてが同一成分である保証はないって」
つまり、ノイマン家のご令嬢が飲んだ「眠り姫の毒」がサンプルより遥かにきつい成分である可能性もあるということだ。
もっとも、まったく別の薬を飲んだ可能性もあるわけだが。つくづく瓶の紛失が惜しかったなぁと考えていると、エリアスがぽつりと呟いた。
「友達」
「ああ、まぁ、友達というか、同僚なんだけど。いや、やっぱり友達かな。なんだか馬が合うんだよね」
へへ、と照れ笑いを浮かべたアルドリックに、エリアスはゴミを見るような視線を向けた。なにが職場で友達と呆れたのかもしれない。
へそを曲げられてはたまらないと、アルドリックは慌てて話題を切り替えた。
「見ないとわからないということは、一緒にノイマン家に向かってくれるということでいいのかな。ご当主はできるだけ早いうちにと仰っていて――まぁ、それはあたりまえだと思うんだけど」
「……こちらもそもそもの話だが」
「うん? なに?」
「なぜ、俺にわざわざ話を持ってきた。おまえたちのところの――おまえの言うお友達が在籍する薬草部の魔術師で対処できるだろう」
「それは、まぁ、そうなんだけど」
痛いところを突かれ、アルドリックはもう一度曖昧にほほえんだ。
「ぜひともきみを指名したいというお話だったんだよ。それに、ほら、きみも国の一級魔術師なわけだし、国の依頼はこなさないといけない立場じゃないか」
「一級魔術師がすることでもないと思うが」
そのとおりでもあったので、説得を取ってつける。
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