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「誰?」
「あ、ええと、……魔術師殿の友達でね。今日は、きみを紹介してもらいに来たんだ。アルドリックと言います。一緒にお話をさせてもらってもよかったかな」
「もちろん。僕はルカ。ルカ・ベック。八才だよ。――あ、僕のこと、坊ちゃまって呼ばないでね。友達なんだから、ルカって呼んで」
「うん、じゃあ、ルカくん。よろしくね」
腰をかがめて笑いかけると、少年――ルカが満足そうに頷く。無邪気な笑みだった。
「じゃあ、ありがとう、ハンナ。またあとでお菓子とお茶を持ってきてね」
「もちろんでございますとも」
少年が背中を預ける枕の位置を調整した彼女が、柔らかそうなブランケットを小さな肩にかける。
「あまり興奮されないようにだけ、気をつけてくださいね。坊ちゃまになにかあれば、ハンナも悲しゅうございます」
「わかってるよ」
困ったように眉を下げ、ルカはほほえんだ。
それでは、よろしくお願いいたします、と自分たちにも頭を下げ、彼女は部屋を後にした。閉まった扉を見つめていた少年がかたをすくめる。
「心配性なんだ」
「ルカくん」
「でも、気にしないで。僕の身体のことは僕が一番わかってるから。ねぇ、魔術師さま。このあいだの話の続き」
フレグラントルに行った話、というおねだりに、「え」とアルドリックは目を輝かせた。
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