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「それに、なんというか、あの家の人たちに協力してもらうこともあるわけだし。そういう意味でも、無遠慮な言動は避けたほうがいいんじゃないかな」
さすがに説教がすぎただろうか。内心で気を揉んでいると、エリアスが淡々と口を開いた。
「あのミアというメイドから、薬草のにおいがした」
「え……」
「かすかだったが、あの屋敷にいた人間の中では一番強かった。令嬢に長く付き添っていることが理由かと思ったが、どうにもメイドのほうが気配が濃い」
「え? えっと、それって……」
「解毒の参考に手あたり次第『眠り姫の毒』を買いに走った可能性も考えたが、おまえとの会話を聞く限り、その線は薄そうだったからな」
「えっと、つまり」
理由を聞かせてくれと頼んだのは自分だが、あまりにもな急展開だ。必死に情報を整理し、恐る恐る問いかける。
「彼女がなにか知ってるんじゃないかと思って、かまをかけたってこと?」
「ああ」
「雑なかまだな!?」
間髪入れず頷かれ、アルドリックは叫んだ。雑すぎるし、警戒されることが関の山のやり方である。いったい、どこが合理的だというのか。
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