エピソード1:眠り姫の毒

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「それに、なんというか、あの家の人たちに協力してもらうこともあるわけだし。そういう意味でも、無遠慮な言動は避けたほうがいいんじゃないかな」  さすがに説教がすぎただろうか。内心で気を揉んでいると、エリアスが淡々と口を開いた。 「あのミアというメイドから、薬草のにおいがした」 「え……」 「かすかだったが、あの屋敷にいた人間の中では一番強かった。令嬢に長く付き添っていることが理由かと思ったが、どうにもメイドのほうが気配が濃い」 「え? えっと、それって……」 「解毒の参考に手あたり次第『眠り姫の毒』を買いに走った可能性も考えたが、おまえとの会話を聞く限り、その線は薄そうだったからな」 「えっと、つまり」  理由を聞かせてくれと頼んだのは自分だが、あまりにもな急展開だ。必死に情報を整理し、恐る恐る問いかける。 「彼女がなにか知ってるんじゃないかと思って、かまをかけたってこと?」 「ああ」 「雑なかまだな!?」  間髪入れず頷かれ、アルドリックは叫んだ。雑すぎるし、警戒されることが関の山のやり方である。いったい、どこが合理的だというのか。
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