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「そういうものか」
不思議そうな色を残しながら頷いたエリアスに、苦笑をこぼす。
「そういうものなんだよ。とにかくと言ったらなんだけど、仮定どおりだとしたら、ミアさんが心配だな。きっととてつもない後悔に見舞われているはずだよ」
「あいかわらずの人の良い解釈だな」
「だって、真っ青だったじゃないか。今すぐ戻りたいところだけど、仮説が間違っている可能性もあるし。それに、これ以上、質問を重ねるのもな」
エリアスが二度やらかしているのだ。告白を得るためにも、さらなる不興を買うことは避けねばならない。
「僕が焦って行動することで、周囲から疑惑の目が向いてもかわいそうだし」
ぶつぶつとひとりごとの調子で呟いた最後に、アルドリックは確認を取った。
「こういう聞き方は、お嬢様とご当主に申し訳ないとわかってるんだけど」
「なんだ」
「彼女の身体に、まだ問題はないんだよね」
「あの調子であれば、あと三、四日は」
「そっか。よかった……っていうのもよくないんだろうけど、難しいな」
ご令嬢の回復が最優先であるものの、そのための最善の策はなになのか。頭を悩ませていると、エリアスが呆れたふうに口を開いた。
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