エピソード1:眠り姫の毒

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「どうやって聞き出したんだ? それまでずっとだんまりだったわけだろう」 「しつこく尋ねただけだよ」  少しの間を置いて、アルドリックは首を傾げた。 「彼女もいつまでも黙っているわけにいかないとわかっていて――、まぁ、それは、魔術師殿のおかげでもあるんだけど。だから、誰かに話したかったんじゃないかな」  それだけだよ、と苦笑したところで、ひとつを付け足す。 「もちろん、ニナちゃんに教えてもらった話のおかげもあると思うけど。ちょっとは気を許してくれたみたいだったから」 「いくら追い詰められたからと言って、誰にでも吐き出せるわけではないだろう。おまえが担当で良かったんだ」 「そうかな。そうだといいんだけど」  気弱に呟いたアルドリックを見つめ、エミールは口の端を釣り上げた。 「そういうことにしておけばいい。とにもかくにも、解毒薬ができれば、おまえの仕事は一段落だろう。愚痴くらい、いくらでも聞いてやる。飲みに行くか」  友人の気遣いに、ありがとう、と笑いかけようとした瞬間。エリアスが自分を呼んだ。 「アルドリック」  心なしか、苛立ったようにも響く声。表情に出ないだけで、彼も思うところがあったのかもしれない。はい、はい、と慌ててアルドリックは近寄った。
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