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「なんだ?」
「なんというか、見た目より随分と情熱的なんだなと思って。きみに愛される女の子は大変だろうね。まぁ、きみなら選り取り見取りだろうけれど」
「おまえのことを言っているのか?」
「え?」
瞳を瞬かせたアルドリックに、真面目な顔のままエリアスは言い募った。
「俺はおまえを好きだと言ったつもりだったが」
「ええ……と」
メルブルク王国に同性愛を禁じる法はない。だが、あくまでも主流は異性愛である。あの令嬢たちが、公にすることを選ばなかっただろう理由のひとつ。
――まぁ、もちろん、身分差とか、家の存続の問題とか、ほかにも理由はあっただろうけど。
そういうふうに思い悩んであたりまえの関係ということだ。でも、この子にとっては、どうでもいいことなんだろうな。
わかってしまったアルドリックは、恐る恐る問いかけた。
「きみ、もしかして、本気で言ってるの、それ」
「本気じゃなかったら、なんだと思っていたんだ」
「いや、嫌がらせの一種かと」
「俺がおまえに? なぜ」
「なぜって、それは、その……」
「その?」
ふたつも下の幼馴染みに八つ当たりをした挙句、避けるように勉強に打ち込んで村を出たこと、なんて。できればあまり言葉にしたくない。
おまけに、当事者の一方が微塵も気にしていない態度なのだから、なおさらだ。
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