やっと会えた。

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「いや、事故と言った方が正しいかな。 昔、日照りが続いてて、人々は雨を欲していたの。 だから、その願いに応えるため 水の神、オケノアスは大雨を降らせた。 フェニックスの体に雨が触れると死んでしまう。 蘇ることはできるけど、弱体化したせいで  他の魔物にあたしは喰われてしまった。 オケノアスはそれに気づかず 雨を降らせてしまった。 その結果、恋人を失うことになったみたい。 だから、お父さんはまた悲劇が起きないよう 日本の神様に幸雨輝とあたしが出会わないように、 雨を降らしてほしいってお願いしたらしいの。 ごめんなさい。あたしのスマホもお父さんに燃やされちゃって連絡出来なかったの」 「僕が、鳳凰さんを…ごめん、鳳凰さん」 何も覚えていない前世のことなのに涙が溢れる。 「いいのよ、あたしは何も覚えてないんだから。 あなただってそうでしょ? だから、過去のことなんか気にしないで 未来を見て歩いていきましょうよ」 にっこり笑う鳳凰さんはとても綺麗だ。 「鳳凰さん、会いにきてくれてありがとう 鳳凰さん、好きだよ」 微笑むと鳳凰さんは一瞬固まり、ふふふと笑った。 「そんなのずっと前から知ってたわよ」 「えぇっ?!」 「僕を振ったのかって 聞かれたときに確信したわね」 顔が熱くなるのを感じる。 「鳳凰さんは、どうなの?」 不貞腐れたように聞くと彼女は繋いだ手を 胸元に持ってきてイタズラっぽく笑う。 「こうしてる時点で察しなさい!」 鳳凰さんの頰はうっすら赤くなっている。 それを見て僕は「やったー!」と拳を突き上げた。 鳳凰さんが周囲を気にして慌ててる。 冬の夜空に輝く星々が僕たちを見守るように 優しく煌めいている。 明日は雨が降るかな。 それとも、雪の雨が降るかな。 何が降ってもいい。 明日からは 雨がやんだら君と会えるんだから。 (終わり)
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