彼女いない歴=年齢

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彼女いない歴=年齢

「藤堂! 彼女できたってマジ?」 大学での講義が終わり、 (いつき)が荷物をまとめている 隣の零人(れいと)に顔を向けた。 「あ、あぁ。うん」 零人は照れたように頷く。 「えっ!ほんと?」 僕は頭を殴られたかのような衝撃を覚える。 僕、神木幸雨輝(こうき)と友人である2人は 今まで彼女いない歴=年齢だったのだ。 そんな仲間のひとりが彼女ができるなんて。 おめでたいことだけど素直に喜べない。 「この裏切り者ーーっ!」 樹が零人の髪をめちゃくちゃにかき回す。 「わっ、やめろよぉっ」 僕も「裏切り者ぉっ!」と零人に腹パンを 喰らわせた。 「いてぇっ」 「で、彼女誰なんだよ?ウチの大学?」 「うん、ウチの大学の子」 頰を赤く染めた零人は頷き、これ以上は言わないと 黙秘権を行使した。 誰もいなくなった教室を見渡す。 ん? 教室の外からこちらを覗いている 女の子と目が合った。 「もしかして、あの子?」 たしか、名前は桜木さんだったはず。 「違うよ」 「嘘をつけ! 桜木さんなんだろーが! お前の好みドンピシャじゃねーか!」 零人は軽くため息をついて笑った。 「そうだよ、桜木さん。 じゃ、俺桜木さんと帰るからまた明日!」 そう言い終わるや否や零人は彼女のもとへ 行ってしまった。 彼女がいるやつ、心底羨ましい。 「いいなぁ、僕も彼女欲しいよ」 「俺も彼女とイチャイチャしてーよ! クソゥ、なんで俺には彼女いないんだよぉ〜」 「安心しろ、僕も仲間だから」 「幸雨輝ぃっ!俺にはお前しかいねぇ〜」 「やめろ、気持ち悪い」 ハハハと笑い合う。 樹に彼女がいなく良かった。 3人の中で1人だけ彼女がいない なんて辛すぎるからな。 しかし、2週間後 僕は樹の口から 衝撃の言葉を聞くことになるのだった。
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