鳳凰さん

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鳳凰さん

帰宅した僕はベッドにダイブし マッチングアプリをインストールした。 さっきからドキドキと胸が高鳴っている。 僕にも彼女ができるかもしれないと思うと はしゃぎたい気分になる。 アプリの設定を終えると 女性のプロフィールが出てきた。 なるほど、スワイプしたら お断りということになるのか。 でも、僕はそのプロフィール写真から 目が離せなかった。 燃えるような赤い髪に吊り上がった同じ色の瞳。 まるで炎の女神のようだと思った。 外国人だろうか。 名前も鳳凰緋炎(ほうおうひえん)とあるし。 年齢は20歳。 僕は23歳だからちょうどいい年齢差だ。 僕はハートマークを押すといいねを送りましたと メッセージが出てすぐに消えた。 じーっとスマホ画面を見つめるがいいねは 返ってこない。  このアプリではいいねをお互いが送り合うと マッチングし、メッセージのやり取りができる という仕組みらしい。 僕はため息をついて、マッチングアプリを閉じて スマホの漫画アプリで漫画を読み始めた。 鳳凰さん、綺麗な人だったけど いいねが返ってこないんだから仕方ないよな。 「幸雨希ー!晩御飯よー!」 母さんが階下から呼んでいる。 僕はスマホを机の上に置き返事をすると 階段を降りていった。 鳳凰さんからいいねが 返ってきていることに気づかずに。
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