雨の季節

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雨の季節

おとといから雨が降り続いている。 6月に入ったからだろうか。 もうすぐ梅雨入りするんだろうな。 大学で課題として出されたレポートと 対峙していると、鳳凰さんから メッセージが入っているのに気づいた。 あれから、鳳凰さんと随分親しくなった。 鳳凰さんと僕が猫が好きだという 話題で盛り上がったり、 大学での愚痴を言い合ったりして 僕は明るい性格の鳳凰さんに惹かれ始めていた。 鳳凰さんとはいつか、会いたいと思っていた。 やり取りをして随分経つから デートに誘ってみようかな。 マッチングアプリを開き、メッセージを 見ると猫の写真が送られてきていた。 道端にいた野良猫。 かわいい。 そんなことを送ってくるあなたの方が可愛いです。 心の中でそう思いつつメッセージを打つ。 猫、可愛いですね! そういえば、僕たちやりとりしてから 随分経ちますよね。どこかで会えませんか? 送ってしまった!あぁぁ! 心臓がバクバク鳴っている。 あれ、返信こないな。 しばらく間があって返ってきた言葉に 僕は目を見開いた。 ごめん、幸雨希。 わたし、炎の魔物のハーフだから 水に触ったりしたら死んじゃうの。 人間の血も引いてるから蘇ることもできない。 だから、雨の時期が終わったら会おうよ! 目の前が真っ暗になる。 それって、僕を振ったってことですか? え? 違うよ!あたしフェニックスと 人間のハーフだって言ったでしょ? 幸雨輝を振ったとかそんなんじゃないよ! 信じてくれるって言ったじゃない。 その言葉にハッとなった。 鳳凰さんは素直な性格だ。 僕は見当違いなことを思ってしまった。 ごめんなさい、鳳凰さん。 僕、鳳凰さんに少しでも早く会いたくて。 気ばかりが急いちゃって… だから、鳳凰さん雨がやんだら 僕と会ってくれますか? 鳳凰さんはもちろんだよ!と返してくれた。 ホッと安堵する。 鳳凰さん、期待してもいいですか?
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