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雨はなかなかやまなかった。
12月になっても、ずっと雨が降り続いている。
太陽が姿を見せる隙さえない。
明らかにおかしい。
異常気象だとニュースでは言っているけど
こんなにも雨がやまないことがあるだろうか。
窓の外を見てため息をつく。
これじゃあ、鳳凰さんと一生会えないじゃないか。
彼女の笑う顔が見たい。
彼女の声が聞きたい。
鳳凰さんとも連絡がつかなくなった。
会おうと約束したのに。
いいや、僕は彼女を信じると決めたんだ。
もしかしたら何か事情があるのかもしれない。
「どうか、お願いします。
鳳凰さんと会わせてください。
雨をやませてください。」
空に、天に願う。
こんなに好きになった人はいないんです。
お願いします。
彼女のいない世界は耐えられない。
だから、どうか。
瞳を開けると信じられない光景が窓の外に
広がっていた。
雨がやんで
庭木の葉には雨粒が光を浴びて輝いている
僕の願いが通じた瞬間だった。
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