やっと会えた。

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やっと会えた。

僕は雨上がりの道をひたすらに走っていた。 鳳凰さんと会える確証はない。 息が上がり呼吸が苦しくなるが気にしない。 「鳳凰さーんっ!!!!!!」 大声で彼女の名前を呼ぶ。 「幸雨輝ぃぃぃーーっ!!」 可愛らしい声が空から聞こえて振り向くと 腕部分が炎の翼になった女の子がこっち に向かって飛んできていた。  彼女は嬉しそうに瞳を潤ませている。 鳳凰さんだ。 やっと会えた。 そう思うと涙が込み上げる。 鳳凰さんは最初に感じた印象通り 炎の女神のようだった。 僕は鳳凰さんを抱き止め、後ろに倒れ込む。 「鳳凰さん、どうして連絡くれなかったんだよ」 「ごめんね、でも今はこうさせて」 鳳凰さんは膝立ちになり僕を抱きしめた。 炎のはずの腕は熱くはなかった。 ただただ暖かかった。 「会いたかったよ、幸雨輝」 「うん、僕も会いたかったよ。鳳凰さん」 それから、僕と鳳凰さんは場所を移し 近所の公園の東屋で話すことにした。 「実はね、私たち前世で恋人同士だったんだって」 「え?!」 僕たちが前世で恋人同士!? 「あたしは前世でも フェニックスのハーフで 水の神様である幸雨輝に恋をして 相思相愛になったってフェニックスである お父さんから聞いた。ほんとびっくりしちゃうよね」 鳳凰さんはハハハと笑う。 情報量の多さに頭がクラクラしてきた。 「そんな前世から僕たちが繋がっていたなんて…。 しかも僕、水の神様だったの?! あっ、だから、雨がやんでほしいって願ったら 雨がやんだのか!」 「多分、そうだと思う。それでね」 言葉を切ると鳳凰さんは暗い顔になった。 「あたしは前世で幸雨輝に 殺されてしまったらしいの」 え? 僕が鳳凰さんを殺した?
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