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6.どういうことなのっ
「うるさい! 余計なことは言わないで帰れ。」
「ほら、ルアルはこう口が悪いだろう? 見た目の美しさで神側から舐められることも多くてね。この子はいつの間にかこんな喋り方をするようになっちゃったんだけど、根は素直ないい子なんだよ」
精霊王様、ルアルにデロデロ甘々なんだけど……。ブラコンなの? ていうか、精霊王様に兄弟がいたことも初耳だし、二人が似てなさすぎてなんていうか。
いや、見目麗しい点では同じなんだけどね。でも精霊王様がたくましさと美しさを表現してるとしたら、ルアルは繊細さと美しさを表現しているような。ほんのり目元は似ている気もしないでもない、か。
「いいから邪魔すんなっての」
「お兄ちゃんのおかげで林檎の君がその姿になれたのにそんなこと言うのっ!?」
あ、だめだ。なんか考えようとしても二人のやり取りがアレすぎて考えられない……。
精霊王様ってこういうタイプだったのか。威厳……どこ……。それにしても、精霊で明確な兄弟って珍しい。僕らは人間みたいに父親と母親がいる訳じゃないから。ある意味みんな兄弟であり他人でもあるんだよね。
だから、ああいう行為も……本当は僕らには必要ない。神様たちが人間を作る前に自分たちに似せてまずは精霊を作ってシミュレーションしたから、僕らも神様や人間と同じ身体を持ってるだけ。『だけ』ではあるけど、ちゃんとソコで気持ちよくなっちゃうんだから困る……いや、困らない……? うう、わかんない。
「ねえ、林檎の君、ルアルと一緒に城に来ないかい?」
「ほぇ!?」
「勝手なことをするなっつーてんだろ!」
「ルアルのためでもあるんだぞ? 城に来れば林檎の君はヒトの姿を保っていられる。そしてお前もな」
「えっ?」
姿を保っていられるという甘い囁きに心が揺れる……。
でも後ろからずっとハグされているけど、ルアルは僕が行くのは嫌なのかな。そっと振り返って見てみるけどなんか微妙な表情かも。
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