7.僕の名前

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7.僕の名前

  「精霊王様、僕、今日はルアルと二人でいます。お誘いありがとうございました。またルアルがいいって言ったときに……」 「林檎の君は本当にいい子だね。ルアルを末永くよろしくね。そうだ、君に名前をあげよう。精霊への名付けは私にしかできないんだ」 「そ、そんな……」 「これは私のわがままだから遠慮しないでほしいかな。名前があると精霊力があがるし、特別なときじゃなくても精霊城に入れるようになるからね。ルアルへも祝いになるだろう?」    精霊王様が茶目っ気たっぷりのウインクをする。それを見てルアルが嫌そうな顔してるけど……。僕が首を傾げてルアルにいいのか無言で尋ねると、はぁと深い溜め息をついてルアルが頷いた。   「えっと……じゃあ、ありがたく頂戴します」 「うん。君はね、アーフェル。どうかな?」    精霊王様に名付けられた瞬間、僕の足元から頭に向かって一瞬光の柱が昇った。   「その力を何に使うかはアーフェルの自由だよ」 「僕は……ルアルに会うために使いたい、かな……」  僕がそう言うとルアルの腕がきゅっと僕を抱きしめる。 「もうソゥ兄は帰れって……」 「ルアルがしびれを切らしてるようだから残念だけど今日のところはそろそろ戻ろうか。またね、二人共」    精霊王様が光の粒子になってふわりと空に消えていくと、僕を抱きしめていたルアルの腕が離れた。  ちょっと寂しい……。  僕、あとどのくらいヒトの姿でいられるんだろう。あの……その……ルアルと触れ合う時間あるのかな。  
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