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ルアルは、僕がある程度成長するまではヒトの形はとらないで見ていたらしいけど、僕が成長したから夜にチラチラと姿を見せるようにしてたんだって。それを僕は見かけたんだね。
「待ってよ! それなのに、初めて会った時あんな意地悪な言い方したの?」
「るせー。嘘じゃねぇじゃん」
プイっと顔を背けるルアルの耳が赤い。思い返してみれば、あれはルアルの照れ隠しだったのか……わかりにくいよ。でもあの強引さがあったから僕は……ルアルと。
ていうかね、部屋のボロボロだったベッドが直されて綺麗な模様の布がかけられてるのはなんでなの?
「あ……」
「余所見してんなよ。アーフェル、食べたい」
ルアルにいきなり深く口づけされて、驚いたのと同時に力が抜けてカクンと膝が折れる。
前よりも執拗にルアルに刺激されてる。僕の吐息も何もかもを飲み込むみたいに、ルアルの舌が僕の舌の根本まで絡め取って……。なにか僕の力を吸い取る術でも使ってるのかなって思うくらい。
そして、僕はいつの間にか手触りの良い綺麗な模様の布の上に押し倒されてた。窓から差し込む月光が明るい。その月光を背にルアルが髪を纏めているんだけど、美しすぎて息が止まりそうだ。
サラサラの髪の毛が月光と重なって同じ色に見える。触れる光の筋みたいで綺麗すぎて見てるだけで涙が出そう。ルアルって本当に月の光なんだ……。
本当に僕でいいのかな、なんて今更なことをふと考える。もう見てるだけじゃ満足できないクセにね。
「僕、本当にルアルから離れられなくなっちゃうよ?」
「そりゃ気が合うな。俺もだ。つーか、元から離す気ねぇし。誰にも渡さねぇし」
ずっと大事に見守ってきたけど、僕が今年はあまりにも美味しそうに色づいてしまったから、あの日は少しばかり焦って僕のもとに来たんだって。本当はちゃんと口説いてから抱くつもりだったとか言われて……。
それは遅くまでフラフラしてた僕のせいだね。でもさ、いろんな精霊にあなたの情報がないか聞いて回ってたんだもん……。
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