3.もう遅くとも

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 エリーには迷惑をかけているが、「人に教えられるということはそれだけ私の身になっているということよ。復習にもなるし構わないわ」なんて素直じゃない言い方で私を応援してくれている。 “今度エリーの読んだことのない本を取り寄せなくちゃ”  私はとても友人に恵まれている。  そして彼女のお陰もあって私の成績はかなり上がった。  中の上……いや、上の下と言ってもいいくらいには上がった。 「この調子で頑張ればもう少し上を目指せそうだわ」  コルンに会いたくなる気持ちを必死に堪え、演習場に通っていた時間を勉強へと費やした甲斐がある。  それに刺繍も始めた。  母に習い名前を刺繍するところから始めたが、出来は酷いものだった。 “でもいつか、家紋とか入れられるようになれば”  名前ですら手こずっているのに文字と絵柄が複雑に絡み合っている家紋を刺繍出来る日が来るかは正直怪しいが、いつか彼が第四騎士団から第一騎士団まで出世する頃までには習得したい。 「その頃はもうコルンと婚約者同士ではないかもしれないけれど」  それでもきっとコルンは優しいから、受け取ってはくれるだろう。    
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