4.あの日から私は

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 そう叫び茂みの中に飛び込んできた人物こそ、当時まだ騎士見習いのコルンだったのだ。 “結局コルンの背中には矢傷が残っているのよね”  獲物を探していた相手の放った最後の弓矢。  その弓矢から身を挺して守ってくれた彼の背中には今も当時の傷があるだろう。    騎士として背中の傷は、いかなる理由であるとしても恥とされる。   「コルンだってそのことを知っているはずなのに」  彼は笑ったのだ。  貴女を守れたという勲章をいただきました、と。  私は彼にしがみつき泣きじゃくっていた。  その笑顔があまりにも温かく優しかったから安堵したのかもしれないし、彼に一生残る恥をつけてしまったことへの後悔かもしれない。  きっとどちらもだったのだろう。      父の補助として狩猟大会に参加していた彼は、私がいなくなったという知らせを聞いて一番に飛び出し探しに来てくれたのだと後から知った。  そしてその日から、私は彼のことが忘れられなくなってしまったのだ。 “一目惚れよ。身を挺して助けに来てくれたその気高さと、私を気遣うその笑顔に”
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