7.溢れる本音

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7.溢れる本音

「こっちの方、だと思うんだけど……」  思ったより奥へと続く足跡に若干動揺しつつ追いかける。  そもそも一番シカっぽい足跡を追いかけてみたつもりなのだが、馬の蹄で踏み荒らされていたせいで見誤ったのか違和感に少し不安になった。 「でも、私は獲物を狩ってコルンにプロポーズするんだから」  必死でそう自分に言い聞かせ勇気を振り絞る。  ここまで来たのだ。  引き返す選択肢は私にはない。    バクバクと激しく音を立てる心臓をうるさく感じながら一歩ずつ進む。 “おかしい、どうして何もいないんだろう”  足跡はあるのに動物の姿を全く見ず、それがなんだか不気味だった。  それに自分がどこまで奥に来たのかもわからない。  まっすぐにしか歩いてないので戻れはするだろうが、夢中で進んでいたせいでここがどのエリアにいるのかがわからなかったのだ。 「まさか上級エリアにまで来ちゃった、なんてことはないわよね?」  不安を誤魔化すようにわざと大きめにそう口にすると、私の声に反応したのかガサリと奥で何かが動いた気配を察する。  私は落ち着くように息をゆっくり吐き、持っていたクロスボウを構えた。
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